番目のアクセスありがとうございます Last Modified 11 Jan. 1999

事例1(日韓の相続税について)

Q はじめまして。突然のメールで失礼します。先生のHPを拝見しました。

さて、お伺いしたいのですがこのHPでは税務相談は受け付けていないのでしょうか。というのも先生は韓国の税務についてもお詳しいようなのでちょっとご質問したいと思ったからです。お返事いただければ幸いです。ちなみに質問事項は、私の父は在日韓国人で韓国と日本に不動産を所有しているのですが、日本人である私及び家族は韓国にある不動産について相続又は遺贈をうけられるか、受けられるとして、両国にあるそれぞれの不動産についてどちらの国へ税金を払うことになるのかということです。

 

A 本来は、お名前等が分からない方の質問にはお答えしないのですが、今回はお答えしたいと思います。

(質問)

質問を要約しますと、日本に住所を有する韓国籍の被相続人の相続に関し、相続人が日本に住所をもっており、また、相続財産が日本と韓国にある場合の相続税申告の方法等について如何、であろうと思われます。

(解説)

(1)相続開始当時、相続人が日本に住所を有していますので、日本の相続税法により相続人が無制限納税義務者(相続税法11条)となり、韓国と日本にある全財産が課税の対象になります。

韓国にある財産については、韓国の相続税及び贈与税(同法26条)により、相続財産からその相続財産に係る債務及び公課金等を控除した残額に最高45%の税率を掛けて相続税を算出します。

これにより韓国で納付した相続税は、日本で相続税申告をする際に税額控除することができます(相続税法21在外財産に対する相続財産の控除)。

日本では、まず相続財産から債務等を控除し、さらに基礎控除をした残額に法定相続分を按分して最高70%の税率を乗じて相続税の総額を算出し、これに各相続人の取得相続財産の割合を乗じて各相続人の相続税額を計算します。

次に、配偶者に対する相続税額の軽減、未成年者控除等を行い、さらに外国納付税額を差引いて各相続人の納付税額が計算されます。

(2)相続に関する民法の適用も、(法例32反致により)日本の民法を適用します。例えば、相続人の順位、遺言や遺産分割に関する規定など。

(3)相続税の計算に当たり、日本と韓国の相続税法の違いにより、有利不利が生ずる可能性があります。例えば、相続人に配偶者がいる場合には、日本の配偶者の相続税の税額軽減の特別規定をフルに生かして、遺産分割協議に際し、配偶者は韓国の相続財産を相続(遺産分割)しないということも考慮する場合があります。

(4)租税条約についてですが、課税される財産の所在地(韓国相続税法5条、日本相続税法10条)に関しては両国とも大きな違いがありませんが、課税体系の相違(韓国では、相続開始時の被相続人の住所を基準として無制限納税義務者を分類しています。)により、納税義務者と課税財産の範囲が異なります。

したがって、国際的二重課税の問題が生じたり、両国とも外国納付税額控除制度を置いているので、どちらの国が相続税を先に課税するかによって相続税が変ってくるという問題があります。

例えば、被相続人が韓国に住所を置いて死亡し、両国に相続人がおり、相続財産があるとすると、韓国相続税法では両国にいる相続人全員が無制限納税義務者となり、全世界所在財産が課税財産となります。日本相続税法では、日本に住所を置く相続人が無制限納税義務者となり全世界所在財産が課税財産となり、現実の相続税申告が極めて困難となります。

このような事態を解決するために、わが国は各国と租税条約を締結しておりますが、相続税に関してはアメリカと条約があるのみです。

歴史的に相続事例が多く生じる韓国の場合、相続税等に関する租税条約が早急に結ばれる必要がありますが、昨年の金大中大統領の来日を機会に、租税条約が検討されるものと思われます。

以上解説をしましたが、韓国の相続税法については一昨年、韓国の国税庁からの研修生(日本の相続税の研究)をお世話した経験と韓国の相続税法を勉強したこと、さらには日本と韓国の税理士(税務士)の交流を通じて実務的にも多少経験しておりますので、それらを参考にまとめてみました。

 

事例2(納税者番号制度について)

Q 初めてMAILさせていただきます。貴方のHP見させていただきました。

まず、納税者番号制度については一概に反対しているわけではないことを申し添えます。ただ、納税者番号制度そのものは決して悪くはないと思うのですが、その番号が政府の納税目的以外に使われた場合の問題を懸念しています。

近年のコンピューターの発達ををもとに、一種の総背番号制である納税者番号にはすでに民間のデーターベース構築業者が目を付けています。(カーナビゲーションのCD-ROM地図のゼンリンなどが具体的に動いている事実を聞いています)

納税者番号を基に集積されたデータはどんな詳細な個人情報になり得るか、現時点でもざっと想像するかぎり、かなりな詳細な個人情報が蓄積できるでしょう。銀行や宅配便、通販やデパートなどに分散しているデータベースはなぜ統合できないのか、それは統合するためのキーが現在のところないからです。この「キー」に納税者番号が使われると、今迄分散していたデータベースが一気に統合化される可能性があります。

ところで、データベースの管理者が国・公共機関であればまだいいのですが、民間の怪しげな業者に個人情報が蓄積されるとどんな危険な使い方をされるか想像しただけでも恐ろしいことになります。少なくとも怪しげな民間業者だけにはデータを蓄積させないために、次のような対策が施されないかぎり、納税者番号制度は導入してはならないのです。

対策提案1

(1)公共機関以外は納税者番号によってデータを集積することを禁止する法律納税者番号の記載されたデータベースを所持してはならない。

(2)アンケート調査、履歴書など、納税と直接関係のない場合には納税者番号を問い合わせることを禁止する法律

(3)業務上知り得た個人の納税者番号を第三者に漏洩することを禁止する法律

対策提案2

納税者番号は住所が変ったり、職場が変ったりするとその都度新たに発行する。その納税者番号の履歴は国税局しか閲覧できない。

このような対策が事前に打たれ、その上での導入ならだいじょうぶかと思われます。あとは、政府が所有するデータベースがどう利用されるのか、政府といえども目的外に使用しないよう、われわれの監視ができる制度の確立も必要です。

 

A Mailいただきましてありがとうございます。納税者番号制度導入の問題点や危険性について、ご理解していただいているようでうれしく思いました。

米国では1998年、税務職員が関心ある有名人の納税申告書を覗き見していた事件がありました。これに対して、勝手に覗き見ることができないような法案ができております。

また、米国では、行政機関相互においても個人情報を流用することがプライバシー法で禁止されております。

情報公開法、プライバシー法、個人(信用)情報保護法などの周辺の法整備があって納税者番号制度の導入が論じられるべきですね。わが国の場合は、はじめに導入ありきというスタンスなので非常に心配です。

 

事例3(中国からの留学生のアルバイトに係る税金の免除について)

Q  私は中国留学生ですが、税金の事を伺いたいです。私は1993年日本にやってきました。1993年〜19963月の在留資格は就学生でした。1997年4月大学進学し、留学生として変更になりました。1994年から今までアルバイドで働いています、私の場合は税金の免除が出来ますでしょうか。

 

A 本来は、お名前、職業が不祥の方の質問にはお答えできませんが、以前から中国の留学生からの質問が数多くありましたので、その回答を利用させていただき、お答えします。

中国からの留学生の給与等に係る税金について、日中租税条約21条に基づく、免税扱いを受ける留学生に支払う賃金(給与)は、その者の生計、教育等に当てられるものである場合、「租税条約に関する届出書」を支払先の管轄税務署長に提出することにとって、支払者は支払いに際して所得税の源泉徴収(With-holding Tax)の必要がなくなります。

中国の留学生が、免税を受けることができるのは、賃金(給与)がその者の生計、教育等に充てられる場合に限られますので留意してください。賃金(給与)は大学の助手に対するものも含まれます。

また、「租税条約に関する届書(様式8」)は、どこの税務署でも入手できます。これに必要事項を書き入れ、給与の支払者に提出し受け付けてもらい、支払者から所轄税務署に提出することでOKです。

さらに、免税を受ける前に源泉徴収された所得税についての還付(Tax Refund)手続について説明します。「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書」(様式11)に必要事項を記入して支払者を経由して税務署に提出すればOKです。これによって、これまでに源泉徴収された税金が戻ってきます。

なお、この免税を受けることができるのは、学校教育法1条の学生に限られており、日本語学校のようないわゆる専門学校の就学生には、免税条項の適用ができませんので留意してください。

 

事例4(税務に関するオンブズマン制度について)

Q 質問がございます。日本には、納税者によるオンブズマンは存在しているでしょうか。

例えば、税の使途を監視するようなオンブズマンなどです。もしあれば、教えていただければと存じます。面識がないにも関わらず、本当に失礼致しました。納税者の意識改革こそが政治をよくするには必要だと感じ、お伺いした次第です。大変お忙しい所とは存じますが、よろしくお願い致します。

 

A ご質問にお答えします。

1.わが国には、納税者が税務行政に対して苦情(不満)を申し立てることができる執行機関から独立した税務オンブズマン制度はありません。

国税局及び各税務署に税務相談所がありますが、ここに苦情を申し立てることが可能ですが、その処理手続がいかめしく、気楽に苦情を申し立てて第三者的に処理をしてもらうシステムにはなっておりません。

私のHomepageで紹介しておりますが、イギリスやオーストラリアでは、税務行政に対する執行機関から独立した「税務オンブズマン」が導入されており、納税者サービスを行っております。

アメリカでは税務署内部に苦情処理する部門を用意しております。

先進諸国では、「納税者権利憲章」を策定し、納税者サービスに努め、その一環として、税務オンブズマン(苦情処理制度)を導入しております。例えば、税務調査に際し、調査官が権力的な言動を用いたり、プライバシーを侵害するような行為があれば、オンブズマンに申し立てて改善や謝罪ないしは賠償まで勧告するシステムになっております。

日本では、このような場合には、国家賠償訴訟を起す方法が考えられますが、時間と費用が掛かるため結局泣き寝入りするようなことが多いようです。もちろん、しっかりした税理士が代理になっていれば、納税者の立場を代弁し税務署と喧嘩しますが、これとて一定の制約があります。わが国でも、税務に関する執行機関から独立した税務オンブズマンや納税者権利権憲章が必要であることが指摘されていますが、マスコミもまだ大きく取り上げておりません。

2.わが国では、税の使徒を監視するオンブズマンは、制度的には存在しておりません。

民主党がアメリカのGAOを参考に国会に行政監視委員会の設置を提案しましたが、これが廃案となり、代わって衆議院決算委員会や参議院に行政監視委員会を設けましたが、これは平成の目安箱といわれるものであり、制度的保証がなく権威があるものとはいえません。

税金の使途を監視するオンブズマンの役割を会計検査院に求めるとか、民主党提案の行政監視委員会の設置導入が検討される必要があります。

わが国では、いわゆる「市民オンブズマン」が自治体の情報公開条例に基づき、税金の使途、無駄使いを監視しておりますが、まだ国レベルでは情報公開法が成立しておらず、税金に関して、わが国の納税者は後進国であるといわなければなりません。

私のHomepageでは、わが国の納税者の立場を先進国並みにするための「納税者権利憲章」や「税務オンブズマン制度」等の導入を求めております。是非参考にしてください。

 

事例5(韓国の税制について)

Q いきなりのメールで失礼いたします。ホームページを見てメールを差し上げました。インターネットで韓国&税務という項目を調べると、長谷川先生のホームページにあたりました。私は、とあるメーカーの人事担当をしておりますが、最近、韓国駐在の社員の税務について、困っております。

ともうしますのは、韓国駐在者が非居住のまま定年退職したのですが、彼はそのまま韓国の関係会社にて副社長として継続勤務することになったのです。当社からは、本人の日本にある口座に、「退職年金」及び「厚生年金基金からの年金」を支払います。また、国からは「老齢厚生年金」が支払われます。そこで、以下の疑問がでてきました。

@居住者に対する退職年金は、所得税法161条8号によって全額国内源泉とされていますが、厚生年金はどう扱われるのか。

A韓国との租税条約の15条には、「民間の退職年金」は日韓どちらか一方にて課税されるとありますが、どちらを選ぶべきなのでしょうか? またどういう手続きが必要か。

B厚生年金については、どのように扱われるのか。

Cもし韓国での課税を選んだ場合、韓国では退職年金と厚生年金にどのような課税がなされるのか。

大阪国税局、東京国税局の税務相談室に問い合わせたのですが、今ひとつ明確な答えがありませんでした。長谷川様は韓国の税制に精通しておられるようなので、思わず、メールを、と思いました。もしよろしければ、ご教授ください。

 

A ご質問の内容が次のようであるとして、私見として回答させていただきます。

(Q)韓国の会社に勤務する非居住者が、日本で公的年金及び民間の退職年金を受給する場合、韓国での確定申告の内容はどうであるか。

(A)非居住者に対する所得税の源泉徴収の対象となる所得の範囲については、所得税法161条以下に規定があります。非居住者の公的年金等については、20%の源泉徴収が必要になります(所法161八、所法212@、213@、所令285)。

また、本件韓国在住の非居住者の場合、民間の退職年金は支給される国で課税されることになると思われますので(日韓租税条約15条参照)、従って、本件公的年金及び民間の退職年金は日本で課税さることになります。

韓国の確定申告に際し、日本での公的年金及び民間の退職年金は日本で課税された所得であり、韓国の確定申告書で外国税額控除を受けることになるのではないかと思われます。

この場合、韓国でこの所得が日本のような雑所得的なその他所得になるのではないかと思われます。

このように考えると、本件の非居住者は、韓国で源泉徴収された役員報酬の給与所得と日本の年金所得のその他所得を総合課税して税額を算出し、そこから給与源泉税額及び日本での年金源泉税額を外国税額控除して確定申告することになります。

しかし、韓国の場合公的年金(国民年金、公務員年金、軍人年金、教員年金)は非課税扱いされているはずです。そうすると、日本の場合と税制(日本では公的年金等収入から公的年金等控除をして雑所得計算を行っているが、韓国ではこのような計算がない)が異なっており、日本で課税された所得を改めて韓国で申告する必要があるかいなか疑問があります。すなわち、日本での20%の源泉分離課税で所得課税は終わったものとして、韓国でこれに関する所得の申告が不要ではないか(韓国では課税できないのではいか)ということです。これに関しては、韓国の税務署又は税務士に確認してください。

 

事例6(納税者番号制度に関する資料について)

Q  はじめまして。突然のメールで失礼いたします。私は、N大学J学部4年のSと申します。専攻が情報法制論、とりわけ個人番号制について研究を進めています。現在、卒業論文を執筆するに当たり、資料収集を行っていたところ、長谷川さんのHPを見つけた次第です。個人番号制に関しては、(私の研究不足もあるのでしょうが)文献が少なく、非常に苦労していました。

長谷川さんの論文はわかりやすく、納税者番号制の現状理解に大変役立ちました。ありがとうございました。かねてより、諸外国のように個人情報保護法制が整備されていない我が国において、個人番号制が「マルチメディア時代への対応」という名の下に導入が進められることは、大変危険であると考えておりました。しかし、ゼミの学生等の関心は薄く、この問題の認識度の低さを痛感しております。N大学には、この問題について研究している教授がいないので、独力で研究を進めている状態です。もしよろしければ、参考になる文献などをご紹介いただけないでしょうか。厚かましいお願いで申し訳ございません。どうぞ、よろしくお願いいたします。

 

A MAILありがとうどざいます。卒論のテーマに納税者番号制度に関するものを選択され、その資料として私のHomepageにアクセスしていただいたということで喜んでおります。

納税者番号制度をめぐる諸問題にはいろんな角度から考察することが必要であり、この問題を研究することは、政治、経済、税制、社会問題等のいろんな事象を理解することに通じていると思われます。

さて、ご要望の関連文献の件ですが、ご希望に沿えるかいなかわかりませんが、あなたの卒論と今後の勉強に少しでも参考になればと思い、アットランダムにリストアップしてみましたので参考にしてください。

・総務庁行政管理局情報システム参事官室監修「世界の個人情報保護法」ぎょうせい

・堀部政男編ジュリスト増刊「情報公開・個人情報保護」19945月有斐閣

・金子宏「税務情報の保護とプライバシー」租税法研究第22号「租税手続改革の課題」有斐閣

・八木敏幸「情報公開」有斐閣選書

Your Right To Privacy和訳アメリカ自由人権協会「プライバシーの権利」教育資料出版

・石村耕治「納税者番号制とプライバシー」中央経済社

・山本健治「プライバシー侵害」拓殖書房

・全国商工団体連合会編

湖東京至訳「納税者の権利と義務」(OECD税務委員会)

・石村耕治「オーストラリアの納税者番号制とプライバシー」(財)日本税務研究センター

・石村耕治「納税者番号制とは何か」岩波ブックレットNo331

・全国青年税理士連盟「アメリカ・カナダにおける納税者の権利保護制度と現状」

・全国青年税理士連盟「イギリス及びスウェーデンの『税務オンブズマン』」

・和田八束「『納税者番号制度』の再認識と展開」税理Vol35No

・川端亮二「データプライバシー」ぎょうせい

・税制調査会資料・鈴木保彦「KSK(国税総合管理)システムの導入について」税と経営1202

・石村耕治「国税庁・KSKシステムの透明化の課題」プライバシー・インターナショナル・ジャパン

・岡野慶男「KSKシステムと税務行政の行方」大阪税制研究所

・宇賀克也監修東京地方税理士会編「税務行政手続改革の課題ー税務行政手続の公正・透明化に向けてー」所収「納税者番号制度ー税務情報の保護とプライバシー」第一法規・・・・(長谷川が編集委員に入っています)

この書籍の該当個所は、次のように構成されていますので参考にしてください。

1.プライバシーの権利と知る権利

2.我が国における納税者番号制度論議の沿革

3.納税者番号制度導入に関する問題点

4.諸外国における納税者番号制度の現状及び問題点

5.国税総合管理(KSK)システムと納税者番号制度

6.高度情報化社会と納税者の権利

この本と石村耕治教授(私の友人)の上掲の図書は是非読んでみてください。

以上ですが、いかがでしょうか。がんばってください。

参考資料で、もれていたもので、アメリカ人がアメリカの実状について書いている「Privacy for Sale」というタイトルの本(読み物)がジャパンタイムスから出ております。数年前に読みましたが、日本の現状及び将来の問題として興味深く読めるものと思われますので、読んでみてください。

 

事例7(サラリーマンの源泉徴収制度について)

Q ホームページを拝見し、なぜサラリーマンだけが源泉徴収されなければならないのか、そしてこれが政治や行政をダメにしている根本原因ではないのか、行政はあくまで一番の払税者であるサラリーマンの為にあるべきで無駄な農道や公民館をつくり、世界一値段の高い高速?道路をつくり、テロの防止ややくざの追放もできない無法国家に日本をし、国家破綻寸前の財政状況を作り出した張本人なのではないのでしょうか。まず、源泉徴収は憲法14条の法の下の平等に反するのではないでしょうか。税は支払う者がそのサービスに対して適正な対価として認めるかどうか判断し、不正なもの不要なものには支払うべきではないという選択権があるはずです。また、サラリーマンの必要経費になぜ賃貸家賃や、不動産を取得した場合の減価償却費や金利費用、交際費等の基本的な費用の計上が出来ないのか、有価証券についても、評価損が算入出来ずに、売却益には課税されるのはまったく納得がいきません。諸外国ではどういったかたちで申告しているのか教えてください。

扶養控除の関係で一昨年の妻の収入が100万円を越えたため、会社の扶養手当と追徴課税をとられ、また延滞税もとられました。しかし、ここにおいても妻の収入は派遣収入であり、収入のなかには交通費が含まれており、これを差し引けば課税所得は扶養範囲内なのです。こういった場合に、交通費の明細を提出し、確定申告をすれば、扶養控除の復活と年率7.5%の無謀な延滞税を免れることは出来るのでしょうか。どういった手続きをすればよいのかお教えください。

 

A mailありがとうございます。Hさんの税制に関する認識で多少誤解があるところを中心に意見を述べさせていただきます。

>なぜサラリーマンだけが源泉徴収されなければならないのか。

給与所得や一定の報酬及び利子配当所得などの源泉徴収制度は、多くの国で採用されている制度です。あなたの指摘したいことは多分、給与所得者に係る年末調整制度についてであろうと思います。この制度は、個人事業者等がする確定申告に代えて、給与所得者に限って採用された我が国独特のものです。

年末調整制度は、給与支払者が給与受給者の確定申告を年末調整により行うものです。

この制度は、一面で給与所得者の確定申告事務を軽減し、給与支払者に事務の負担を義務づけるものです。他面では、給与所得者がどのような計算で税金を徴収されているのかが分かり難くしており、税金の使途や税制に関する意識を弱くさせている面もあります。

米国等では、給与所得者は源泉徴収された税金を自ら確定申告により還付申告する制度を採用しております。どちらがいいのかは即断できない要素がありますが、私は年末調整と確定申告の選択を認める制度にすべきであると考えております。

(参考:私のhomepageの税制改正意見の所得税の項)

>また、サラリーマンの必要経費になぜ賃貸家賃や、不動産を取得した場合の減価償却費や金利費用、交際費等の基本的な費用の計上が出来ないのか、有価証券についても、評価損が算入出来ずに、売却益には課税されるのはまったく納得がいきません。

サラリーマンだけではなく個人事業者も、個人的(事業に関係ない)な自宅家賃や取得した自宅の減価償却費、金利は費用に計上できません。この点の差別はありません。

>諸外国ではどういったかたちで申告しているのか教えてください。

諸外国では、たとえば、所得控除や税額控除の方法で家賃や住宅等の控除を認めておりますが、我が国でも住宅取得特別控除が税額控除として認められております。但し、家賃控除はありません。

>扶養控除の関係で一昨年の妻の収入が100万円を越えたため、会社の扶養手当と追徴課税をとられ、また延滞税もとられました。しかし、ここにおいても妻の収入は派遣収入であり、収入のなかには交通費が含まれており、これを差し引けば課税所得は扶養範囲内なのです。こういった場合に、交通費の明細を提出し、確定申告をすれば、扶養控除の復活と年率7.5%の無謀な延滞税を免れることは出来るのでしょうか。どういった手続きをすればよいのかお教えください。

給与所得者の所得計算に関し、たとえば年収(給与総額)が1,500,000円の場合、給与控除(見做し経費)額が650,000円で所得は850,000円となり、これから所得控除(社会保険料、生保、扶養、基礎等)を行い、税額を算出します。

Hさんの場合には、奥さんが100万円の給与総額であれば、給与控除額65万円で基礎控除額が38万円ですから所得が0になります。150万円の場合には給与所得が85万円で38万の基礎控除(他に所得控除がないとして)を引いて、課税所得47万円の所得税10%4.7万円が計算されます。

なお、給与控除額(見做し経費額)は、給与総額によって異なります。たとえば、年収(給与総額)500万円の場合には、154万円で、給与所得は346万円となります。この例で、年末調整か、確定申告かという選択は、給与所得者の経費を実額で計算(会社勤務に係る経費に限ります)するか、給与控除(見做し経費)を使うかというものです。ほとんどの場合には、給与控除が有利です。

さて、税制に関して重要なことは、不公正な税制をなくすことですが、たとえば、大企業で適用される租税特別措置法を見直すとか、貧富の差を拡大する消費税の税率アップをなくすとかが考えられます。そして、税金の使徒を監視できる制度の導入と納税者の意識により税金の無駄使いを止めさせることであると考えます。

もっといえば、今の政治家の能力では官僚に負けてしまうということです。優秀な政治家が求められますが今のシステムではだめです。行政改革が叫ばれて、久しくなりますが、結果的にはほとんど何もできていませんし、このままでは、これからも真の行革はできないと断言していいと思います。

真の行革を進めていく国が生き残る時代になっています。たとえば、最近では、イギリス、ニュウジーランド、韓国、マレーシア等が参考になります。

情報公開法、プライバシー法、オンブズマン制度、納税者の権利保障制度(及び市民憲章)、は行革とあわせて進められなければなりません。私のhomepageはそんなコンセプトで作成しております。以上Hさんへの答えになっていないかと思いますが参考にしていただければ幸いです。

 

事例8(税金の支払方法について)

Q 常日頃疑問に思っている事があるのですが、もしよろしければ教えてください。不躾で大変申し訳ありません。疑問とは、私のような若者で一人暮しで働いている場合、平日の昼間つまり納税場所である銀行や郵便局や市役所等の営業時間に行けるわけが無いのに「そこでしか受け付けない」と言う税務署?の姿勢はあれが他国でも普通の事なのでしょうか?

納税する意思はあっても、納税するために(勿論その為だけではありませんが)は働かなくてはならず、かといって平日休むわけにもいかずで、結局毎度毎度督促やら催促やらで脅されるようでどうにも納得が出来ません。

 税金のお陰で治安が守られ、火事や災害等からも守られ、便利な交通網等の整備をしてもらっているのですから、国民として税を収めるのは当然だとは思うのですが、その納税方法がどうにも理不尽で疑問だらけです。働かなくては税金は払えない。でも平日休まないと税金を払えない。平日休むと働けない。働けないからお金が入らない。と、結局堂々巡りになるように思えてしかたがありません。

 日本だけなのでしょうか?日曜日や土曜日に納税出来ない国は。お忙しいところに不躾な質問で申し訳無く思うのですが、なにとぞお答え願えれば幸いです。

 

A さて、ご質問の件ですが、正直いって今まで、あまり考えたことがない問題でした。

私見を述べさせていただきます。

 申告期限及び納期限は、各個別税法に規定されていますが、それぞれ時間を区切った期限ではありませんので、最終日の午後11時59分まで申告と同じように納税が可能であると思います。

申告書の提出先は所轄税務署長ですが、税金の納付窓口は、@日本銀行(歳入代理店を含む)、A郵便局及びB国税の収納を行う税務署の職員であり、そして金銭で納付しなさいと規定されています。(国税通則法34条)但し、納付が確実と認められ、かつ、国税の徴収上有利と認められるときに限り口座振替ができることが規定されています。(同法第34条の2)

口座振替による納税が、申告所得税においては大分利用者が多いようですが、法人税等では口座振替による納税は、現在行われておりません。(法人税は過去行っていたことがあるようです。納税者サイドからは、ぜひ必要な税目です。)

国税通則法の規定上から見ると、口座振替による納税は、あくまで例外的な取扱のようです。しかし実務上は口座振替納税が出来る税目については、それを利用することによって収納機関及び納税者にとってもメリットのある制度です。ただ、同制度が全税目に及んでいないのが不公平を感じます。

行政機関の休日に関する法律によれば、日曜日、土曜日、国民の休日に関する法律に規定する休日及び12月29日から翌年の1月3日迄は行政機関の執務は原則として行わないこととされております。しかし休日であっても納付できる制度も必要だと思います。そして、法律で規定している期限より、収税窓口が早く閉まることも問題です。

それでは、税金を納める方法には、どんな方法があるのでしょうか。

@収納代理店である金融機関若しくは郵便局で営業時間内に納める。

A納税組合に加入して、納税組合に集金に来てもらう。この場合納期限より早く集金に来ます。また、輪番制でいずれ納税組合長をする必要があり、税目により、取り扱わないものがあります。

B口座振替納税を利用する。

以上が現在可能な納税の方法ですが、以下の方法も考えられます。

C収税官吏に、納税者の都合の良い時間に集金にきてもらう。

D24時間収納窓口を開けておく。

E夜間金庫と同様な制度を設ける。(証券納付を原則にすることにより金額の間違いが少なくなる。)

Fコンビニ、ドラッグストア等長時間営業店においてクレジットカード等で納付出来る制度の確立。

G電子納付制度の確立。

上記C、Dについては、COSTがかかり、増税理由にされかねませんので実行不可能です。従ってE、F及びGの方法が今後の可能性を秘めているのではないでしょうか。

以上納税について考えてみましたが、納税とは、金銭を納付することのみでなく納税するための労役をも含んでいるのではないかと感じました。諸外国についての納税の方法については、今後調べてみます。