私は、これまで税務行政に関する海外視察に参加してきました。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダや韓国等では、納税者の権利に係る法制度が整備されております。
 しかし、日本では、未だ納税者の権利を保障する法制度が確立されておりません。国民の租税負担が増大するに伴い、より一層納税者の協力なしには税収の確保を図ることができなくなってくるでしょう。

 行政の公正の確保と透明性の向上を図り、もって、納税者の権利利益の保護に資するためには、納税者の権利保障制度が必要であると考えます。
 行政サービスにも民間と同じようなサービスが求められており、納税者にとっても、苦情申立を始め種々の権利が認められなければなりません。

 我が国の「納税者権利憲章」は平成23年1月に国税通則法改正法案として国会に上程されましたが、残念ながら同年10月には自民党等の反対により納税者の権利利益の保護や納税者権利憲章の条項が見送られ、当初案より後退した修正法案として国会に再上程され11月30日に可決しました。
 我が国の税法は、税務調査に関して、一条文のみ裁量的に「調査について必要があるときは……調査できる」(所得税法第234条、法人税法第153条参照)というものがあるだけであり、その他の手続(調査の通知、理由開示、時間・場所、代理人の選任、弁明手続、苦情申立て手続など)は何ら法文化されていません。また、税務調査の違法性をめぐって多くの裁判例が出ていますが、税務調査手続に関する規定が不備なことから原告納税者に不利なものがほとんどです。
 しかし、政権交代により平成22年度税制改正大綱の中に「納税者権利憲章の制定」が入ったことにより、我が国の税務調査に関する状況は一変するだろうという期待がもたれるようになりました。そして平成22年12月16日の「平成23年度税制改革大綱」の具体的改革案の冒頭に「納税者権利憲章」の策定が明記されました。
 これは「公平・透明・納得」の税制を実現しようという民主党政権の姿勢が反映されたものとみることができます。

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 なお、長谷川博のブログでも紹介しております。
※このホームページは、税理士長谷川博が作成した論文や資料等のデータベースとして利用しており、 主な内容はわが国での『納税者の権利』を確立するための論稿や諸外国の納税者の権利について掲載しております。

  ドキュメントの分類は過去の資料等も入れ多岐に亘っております。


税務行政の適正手続・納税者の権利
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    以下2011年 
11/30 TCフォーラム11.12.5会報「納税者権利憲章」法案の不成立に抗議!
10/15 H23.10.11税政連 国会陳情資料
10/10 TKC議連の納税者権利憲章制定反対意見の資料
06/30 TCフォーラム6月11日総会会報 定時総会「菅川洋衆議院議員の記念講演」ほか
02/22 税理3月号H23年税制改正特集「納税者権利憲章の策定」(三木義一・長谷川博) 
02/21 「国税通則法改正に関する緊急要望書」(TCフォーラム2011年2月21日)
  01/07  納税者権利憲章を真に納税者の権利保護に資するための要望(TCフォーラム会報1月7日)
以下2010年 
  12/22  韓国の監査検査院(BAI)について(租税訴訟No4租税訴訟学会2010年12月)長谷川 博
  12/22 韓国の「課税前適否審査」制度(租税訴訟No4租税訴訟学会2010年12月)長谷川 博
  12/22 韓国の「納税者保護担当官」制度-制度の強化-(租税訴訟No4租税訴訟学会2010年12月)長谷川 博
  12/15 「政府税制調査会(納税環境整備)」の納税者権利憲章・税務手続に係る緊急要望(TCフォーラム2010年12月15日)
  10/09 納税者権利保護法を制定し、納税者権利憲章を法定せよ!!(TCフォーラム会報2010年10月)
  07/20 「韓国の納税者権利救済制度の実情視察」報告書(租税訴訟学会横浜支部2010年7月)
  04/30 TCフォーラム4月7日納税者権利憲章制定を求める国会内集会(2010年4月会報)
  04/27 納税者権利憲章のあり方(2010年2月東京地方税理士会会報)長谷川 博 
  04/22  納税者権利憲章の制定はどうなったのか(2010年4月) 湖東 京至税理士
  04/22  「国税通則法改正を改正しよう-納税者の税務行政の実現に向けて」(2010年2月東京税理士会税務審議部
  04/22  「宣言」だけでは無意味な納税者憲章(2010年・東京税理士会会報) 金子 秀夫税理士
  04/22 OECD納税者権利憲章の指針2003年(2004年税制研究)望月 爾立命館大学准教授
  04/22 韓国の納税者権利憲章の動向−権利拡充と行政刷新(2010年・租税訴訟No3)長谷川 博税理士
  04/20  日本の情報化社会を支える納税者番号制度の必要性(永田理絵 税理士)
   
以下2009年 
  06/04 「納税者権利憲章の制定は近い」(藤井裕久民主党税制調査会会長・衆議院議員)(TCフォーラム09年5月記念講演)
  04/16 韓国における「税務士資格制度」について(2009年3月)(李信愛 韓国税務士)
  04/10 納税者権利憲章制定を求める100万人署名を衆参議長に提出(TCフォーラム2009年2月)
  04/07 韓国国税基本法(納税者の権利)(2009年)(李信愛税務士邦訳)
  04/07 韓国納税者権利憲章とその後の運営について(2007年)(韓国中部税務士会) 
  04/07 韓国における「租税審判院」創設関連資料(2009年)(李信愛税務士邦訳)
  04/07 韓国の国税不服申立て制度改革について(2008年)(韓国中部税務士会)
  03/22 アメリカの租税争訟制度の実情視察報告書(2008年11月)(租税訴訟学会横浜支部)
  03/12 「隠ぺい又は仮装」の認定と青色申告の取消し・課税庁の裁量権(2008年) (税理'08年1月号)
  02/28 国税不服審判制度の国際比較−日本・韓国・アメリカ(2007年)(税制研究52号'07年8月号)
  02/28 国税通則法の改正で納税者権利の章典制定を(2005年)(東京税理士会)
  02/25 税務訴訟における補佐人業務(2004年)(税務弘報'04年11月号) 
  02/25 韓国の監査検査院(BAI)について(2006年)(税制研究50号'06年8月号)
  02/22 国税不服審査制度はどう変わる(2008年)(税務弘報'08年9月号)
  02/22 租税訴訟における和解の意義とその課題(2007年)(租税争訟No1)
  02/22 「納税者支援調整官」制度の現状と課題(2007年)(税務事例'07年1月号)
  02/22 行政不服審査法の改正に伴う国税通則法改革の方向と課題(2008年)(税制研究53号'08年1月号)
02/18

長谷川博のブログを開設しました。日々の出来事の感想や自分の考えを日記風に綴っています。

  02/15

ホームページをリメイクしました。